2022年1月16日 実験飼育中のヒラタクワガタの幼虫の内、醗酵マットを餌にして、約24度で加温飼育中の雄の幼虫(No.9)が2022年1月15日の時点で蛹化していました。この幼虫は2021年の9月2日に成虫の飼育容器から採取し(恐らく8月下旬に孵化し)、質量が9月12日に2.4g、10月18日に7g、12月4日に8.2gと成長し12月には成長がほぼ飽和状態だった個体です。
この蛹からは、外見上 恐らく体長50mmを少し上回る成虫に羽化するのではないかと予想しています。雄の親虫の体長(36mm)は大きく上回りそうですが、本来のヒラタクワガタらしい大きな個体では無さそうです。
また、このヒラタクワガタは孵化後約5ヶ月少々で蛹化しました。ヒラタクワガタのライフサイクルは不安定で、成長過程における温度など周辺の環境に応じて大きく変化します。これはこの種が東南アジアの常夏の環境をルーツとしているためと考えています。一方でカブトムシやカナブン、シラホシハナムグリはライフサイクルが極安定しており、加温して飼育した場合でも蛹化は殆ど初夏(5月)以降になります。
2022年1月22日 大きな石を敷き詰め、一時 川の流れを仮設パイプに預けて、完璧な護岸工事の仕上げが行われています。これで、集中豪雨が生じても安心かもしれません。
ここは10年ぐらい前までクワガタの宝庫でしたが、今は木1本すら生えていません。仮設パイプの35、36とナンバーリングしてある箇所には、特に昆虫が集まるヤナギが並んでいたことを、懐かしく思い出します。
2007年7月7日(5時45分頃)に、ここで撮影した写真が残っていました。川面に伸びる小枝の樹液に、ヒラタクワガタの雄が吸い付いていました。
そのとなりのヤナギには、ノコギリクワガタの大きな雄が付いていました。
このような自然がまた1つ消えてしまいました。残された自然に手を加える前にできることを考えたいものです。
2022年1月23日 日曜日に、多摩地区の旧戦車道路沿いの桜並木を散歩中のIハカセは、途中からスパッと切られた1本の桜の枝の断面中央部に開いた穴を、「クワガタ居ないかな~」と覗き込みました。
その途端、2匹の大きな黄色い頭のオオスズメ女王蜂と目が合い、2匹はすかさず触覚をゆらりゆらり揺らし始めたため、一瞬”殺られる”と思ったそうです。「あ~本当に怖かった」とおっしゃっていました。
Iハカセは、「スズメバチはもともと桜のむくの枝に入り込んでいて、枝を切ったから見つかったのかな~」とやや天然っぱい(密室監禁事件のような)ミステリアスな話をしてくださいました。「はぁ~!?(切った枝に入ったに決まっている)」と思いましたが、それも”かぐや蜂”のようで面白いので、そういうことにしておきました。
しかし、オオスズメ女王蜂の越冬シーンに遭遇すること自体希なことで、しかも2匹一緒だったとは、大発見でしょう。この場所が、日光が良く当たり暖かく、鳥や寄生虫などの敵から身を守りやすく越冬するによほど好条件だったのでしょう!
2022年2月5日 2022年1月15日の時点で蛹化していた加温し実験飼育中のヒラタクワガタ(No.9)の蛹は、1/29の時点で羽化していました。孵化から羽化まで約5ヶ月半を要しました。今日、取り出して確認すると、体長は予想よりやや小さめの48mmでした。それでも、親の体長36mmは上回っていました。体重は幼虫期(12月4日)に8.2gでしたが、現在は2.8gと1/3程度に軽くなっていました。
恐らく、現在飼育中の幼虫の中では、最も小さい個体ではないかと感じています。それでも、自然界(昆虫バカセフィールド)で昨2021年度に16回出会った全てのヒラタクワガタの雄より大きかったことは、いかに自然環境が痩せてきているかということを示していると考えています。
そして、自然環境を痩せさせる最大の要因は、河川敷の大規模な護岸工事だと感じています。木々を根こそぎ重機で剥がし取ってしまう、乱暴とも見受けられる工事を、それらを司る官庁の担当部署の責任者、担当者は、どう考えておられるのか? もし事務仕事を処理するかのように淡々と業者に工事を発注しているとしたら、何とむなしいことでしょうか。
2022年2月5日 作2021年の7~8月頃に羽化し、そのまま蛹室で越冬中のノコギリクワガタの雄(最初の写真)と雌(次の写真)を、強制的に蛹室から出して観察しました。共に符節もしっかりして、綺麗で元気な個体でした。
ノコギリクワガタは、多くが夏から秋にかけて羽化し、その殆どがそのまま蛹室内でじっと動かずに(体力を温存しながら)成虫越冬し、翌年の初夏を待って地上に出ます。もし 羽化後間もなく蛹室から強制的に出すと、符節が”ふにゃふにゃ”して足腰に力が入らない様子で、長く生きられません。また、秋口の温暖な気候に誘われて自ら蛹室を出ると、冬の到来を待たずに死亡します。
ノコギリクワガタが自ら製造した特製の蛹室から出ない限りは確実に越冬できます。この蛹室は、さしずめ 魔法のシェルターのようです。このシェルターには、何かは分かりませんが、ノコギリクワガタの生命を維持する秘密があるのではないかと考えています。
今日、シェルターから出した2匹は、元(平均10度前後の室内にセットした醗酵マットを詰めたビン)に戻すのは危険なので、24度に加温した初夏の環境で餌(昆虫ゼリー)を与えながら、飼育しようと思います。
2022年3月9日 近くの里山の山際に湧き水による水溜まりがあり、見に行きました。
ヤマアカガエルの卵塊が見つかりました。毎年春一番が吹く頃、ここに真っ先に現れるのがヤマアカガエルの卵塊です。
しかし、お目当てのトウキョウサンショウウオの卵塊は見つかりませんでした。この周辺にはトウキョウサンショウウオが生息していて、この水溜まりには、ヤマアカガエルの産卵時期かややその後に産卵しに来るのですが、今年は寒かったせいかもしれません。
今後この水溜まりには6月初旬にかけて、トウキョウサンショウウオの卵塊、アカハライモリ、モリアオガエルの卵塊が順に現れる予定です。
途中コナラの幹で、風雨にも負けなかった”ド根性-蝉の抜け殻”を発見しました。
2022年3月12日 昆虫バカセ研究室で実験飼育中のノコギリクワガタの越冬個体が、ここ2,3日の陽気に誘われて蛹室を出て活動し始めました。この個体群は、2020年の夏に昆虫バカセフィールドで採取したノコギリクワガタとコクワガタの親虫数匹が同年に産卵し孵化、2021年の夏~秋にかけて羽化し蛹室に籠ったまま越冬していたものです。一部(2匹だけ)コクワガタも混ざっています。
ノコギリクワガタの殆ど(90%以上)は、孵化後1年で羽化そのまま蛹室で越冬して翌年活動するサイクルパターンでした。室温よりやや低い自然界では5月以降に活動し始めると思いますが、今年はもしかしたら既に活動個体が出現しているかもしれません。ごく僅か(5%以下)は、2021年夏に羽化後その秋に活動し始め冬季口に死亡するサイクルパターンも確認できました。また、僅か(5%程度)は孵化後2年目の春に至っても蛹化の気配を見せず幼虫のままの個体も存在します。この(3匹の)内2匹は体に黒いシミがあり、成長を阻害する病気にかかっている可能性があります。しかし、体重は昨年秋から確実に増加しています(写真左10/25-8.1g→3/12-8.8g,写真中10/25-7.0g→3/12-8.0g)。今後の経過を注視します。
また、コクワガタはそのごく僅か(5%以下程度)が、孵化後1年で羽化そのまま蛹室で越冬して翌年活動するサイクルパターンでした。殆ど(90%以上)は、2021年初夏以降に羽化後すぐ活動をし始めました。
これらの活動個体は5月頃、放虫予定です。
2022年3月14日 3日ほど暖かい日が続き、昆虫バカセ研究室のクワガタ達も活動し始め、しかも今日は気温が日中24度まで上昇した為、今年最初のクワガタウォッチングに出かけました。18時30分頃、この時間はやや強い風が吹いて肌寒い中、毎年 最初(去年は4月末)にコクワガタが見つかるヤナギ林に入りました。しかし林に入ると、辺り一面は枯れ野に覆われ、葉1つ生えていないヤナギの枝々が目に入りました、「もし自分がクワガタならこの林に来て、わざわざ木に登る動機があるのだろうか? 」と、的外れな自分の行動にようやく気が付きました。足下の水溜まりでは、ヒキガエルが平泳ぎして去っていきました。私も帰ろうと思いました。
2022年3月23日 3/10日以降しばらく暖かい日が続き、活動し始めました昆虫バカセ研究室のクワガタ達でしたが、3月22日・降雪に伴う寒さで、皆一旦土中に潜んでしまいました。しかしその後ふたたび気温が上昇し室温が16度以上になると、コクワガタだけは元気に(樹液に見立てた)昆虫ゼリーに吸い付いていました。コクワガタは暑さにも寒さにも強く二刀流の、まさにクワガタ界の大谷翔平です。
このような自然に触れると癒やされます。現在の自然は維持したいと願ってやみません。
内容 | 東京・昆虫ウォッチング(東京の昆虫) |
---|---|
Eメール | hydro-servo-k@ab.auone-net.jp |
作者 | 昆虫バカセ |
更新日 | 2021年11月27日 |