東京・昆虫ウォッチング・オフ(東京の昆虫)/2021年-初冬

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 2021年11月19日昼晴れ、日中の最高気温は18度。12時現在現地の気温14度、日頃一日中座りっぱなしで萎えた足腰を鍛えるために、奥武蔵の低山をトレッキングしました。

 12時20分頃、時期的に殆ど昆虫には出会えないだろうと 入間郡毛呂山町宿谷付近の車道を歩いていると、車道の中央でオオカマキリの雌に出会いました。日光で暖まった車道で暖をといっていたようですが、まだ健在だったとは驚きました。危ないので、胸部を親指と人差し指で摘まみ、車道脇の草むらに放しました。通常ならそうすると、カマを後ろにそり上げ指を挟むので痛いのですが、もはやこのカマキリにはそのような元気はありませんでした。

入間郡毛呂山町宿谷付近の車道_オオカマキリの雌_2021年11月19日12時20分頃 気温14度

 13時頃、毛呂山町白銀平の展望台から毛呂山市街方面を眺めていると、こんどは、視界にハラビロカマキリの雌が入りました。今日はオオカマキリで出会ったこともあったため、昆虫バカセの昆虫センサがやや活性化していたためか、すぐに気がつきました。どこに居るか、分かりますか?

入間郡毛呂山町-白銀平展望台からの風景に紛れる ハラビロカマキリの雌_2021年11月19日13時20分頃 気温16度

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 紅葉したカエデの葉上に居ました。おそらく、横のどんぐりをつけたシラカシの葉から渡ってきたではないかと思います。常緑広葉樹のシラカシには、まだかろうじて餌となるアオマツムシが付いており、それで食いつないできたのでしょう。

入間郡毛呂山町-白銀平展望台からの風景に紛れる ハラビロカマキリの雌(拡大)_2021年11月19日13時20分頃 気温16度

 それなら、このカエデの左横のシラカシには、まだ別のハラビロカマキリも居るのではないかと凝視すると、やはり居ました。どこに居るか、分かりますか?

入間郡毛呂山町-白銀平展望台の真横のシラカシ ハラビロカマキリの雌_2021年11月19日13時20分頃 気温16度

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 ここに居ました。11月以降にハラビロカマキリに出会ったのは初めてです。11月以降はクワガタムシが殆ど活動しなくなり、それに伴って昆虫バカセの活動も弱まるので、いままで気がつかなかったのかもしれません。

入間郡毛呂山町-白銀平展望台の真横のシラカシ ハラビロカマキリの雌(拡大)_2021年11月19日13時20分頃 気温16度

 ここから物見山・山頂までは、筋トレのため気合いを入れてハイペース(40分ほど)で登坂しました。しかし、物見山・山頂からの眺望は、その名に反して全く閉ざされていました。その代わり、そこから宿谷に降りる途中のヤセオネ峠からの開けた眺望は、気持ち良いものでした。

物見山から宿谷に降りる途中のヤセオネ峠からの眺望_2021年11月19日15時頃 気温15度

 2021年11月26日昼晴れ、日中の最高気温は18度。14時現在現地の気温16度、夏にはキリギリスやヒメギスが群生する草原を、初冬のこの時期にどんな昆虫が見つかるのか?1時間程ウォーキングしながらウォッチングしました。すぐ横にはサッカー場があり、少年達が元気なかけ声と共にボールを追いかけていました。

初冬のキリギリスが群生する草原_堤防の上から一望_2021年11月26日14時頃_気温16度

 今日最も多く見つかったのは(今日ここでの稀少度第10位は)、ツチイナゴでした。草原を5歩進めば1匹飛び出す程、数多く見つかりました。皆元気よく、しかし飛翔距離はせいぜい2m程度でした。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.10_ツチイナゴ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 次に多く見つかったのは(稀少度第9位は)、コバネイナゴでした。10数匹見つかりました。低温のせいか、体色は全体的にやや黒ずんでおり、跳躍力もやや弱々しく感じました。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.9_コバネイナゴ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 稀少度第8位はオンブバッタでした。2組のペアを含み、雄・雌計10匹程度見つかりました。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.8_オンブバッタのペア_2021年11月26日14時頃_気温16度

 稀少度第7位はセツジツユムシでした。雄・雌計5匹見つかりました。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.7_セスジツユムシ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 稀少度第6位はオオカマキリの雌でした。雄は見つからず、雌ばかり草原に点在するツツジの葉上で4匹見つかりました。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.6_オオカマキリ(雌)_2021年11月26日14時頃_気温16度

 稀少度第5位はトノサマバッタでした。褐色型(最初の写真)が2匹、緑色型が1匹(次の写真)計3匹、やや体が大きな雌ばかり見つかりました。体の大きさやフォルムはツチイナゴに近いのですが、近づいた時の飛翔距離が3~5m程度とツチイナゴより長く、飛翔した時点で”トノサマ”だと分かります。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.5_トノサマバッタ(褐色)_2021年11月26日14時頃_気温16度 初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.5_トノサマバッタ(緑色)_2021年11月26日14時頃_気温16度

 同じく稀少度第5位は、計3匹見つかったヒナバッタでした。近づくとすぐ跳んで逃げるので、なかなかシャッターを切れませんでした。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.4_ヒナバッタ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 稀少度第3位は、クビキリギスでした。雄1匹(最初の写真)、雌1匹(次の写真)計2匹見つかりました。成虫で越冬する寒さに順応したキリギリスの仲間です。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.3_クビキリギス♂_2021年11月26日14時頃_気温16度 初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.3_クビキリギス♀_2021年11月26日14時頃_気温16度

 稀少度(同点)第1位は、ショウリョウバッタモドキの雄です。夏には最も多く見られるショウリョウバッタが1匹も見つからない中、モドキが1匹だけ見つかりました。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.1_ショリョウバッタモドキ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 同じく稀少度(同点)第1位は、ベニシジミ蝶でした。今日ここで目にした蝶は、これ1匹のみでした。

初冬のキリギリスが群生する草原_稀少度No.3_ベニシジミ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 真白いススキの穂が、まもなくやってくる本格的な冬の到来を告げているようでした。今日見つかった11種類の昆虫の内、越冬できるツチイナゴとクビキリギスを除いた9種類に対しては、余命は残り僅かと思われますが、朝晩の冷え込みが強くなった今日までよく生抜いたものだと、敬意を表します。

初冬のキリギリスが群生する草原_ススキ_2021年11月26日14時頃_気温16度

 2021年12月4日 実験飼育中のノコギリ、ヒラタ、オオクワガタの幼虫の成長状態を確認しました。これらは全て、昆虫バカセフィールド(多摩地区)で採取した雌・成虫を産卵させ、醗酵マット等で成長させたものです。

多摩地区-昆虫バカセフィールド ルーツのクワガタ幼虫達(ノコギリ、ヒラタ、オオ)_2021年12月4日

 左から、ノコギリクワガタの雄(7.8g-生後約1.4ヶ月),ヒラタクワガタの雄(8.2g-生後約4ヶ月),オオクワガタの雌(6.7g-生後約3.5ヶ月) いずれも終令幼虫です。成虫なら雄、雌を問わず一目で種類が見分けられますが、幼虫は容姿を凝視しても違いは全く分かりません。しかし 姿勢を観察すれば、ノコギリクワガタかその他かは識別できそうです。ヒラタクワガタやオオクワガタは、基本的に”C”の形を維持していることが多いのですが、ノコギリクワガタは、体の中央部付近の背中を反って(”C”の形を維持しない)ことが多いと感じています。これらの幼虫は、それぞれ別の目的で実験飼育中です。
 ノコギリクワガタは、ライフサイクルの確認が目的です。夏に孵化し、翌年の夏に羽化しそのまま蛹室内で(成虫)越冬し、さらに翌年の夏に地上に出て、秋に産卵して寿命を終えるライフサイクルが確認できつつあります。2020年夏に孵化したものは、現在その殆どが蛹室内で成虫越冬中ですが、僅か(約6%)は現在もまだ幼虫のままです。写真はその内の1匹です。しかし、体表面に”黒焦げ”のようなシミがあり、何か体調に問題があって成長が滞っているのかもしれません。この幼虫は、10月15日に確認した時点で質量が8.1gでしたが、その後は常温飼育中とはいえ 今日は7.8gと減少していました。
 ヒラタクワガタは、多摩地区の昆虫バカセフィールドで去年、今年見つかった数10匹の個体が全て(同地区で見つかったコクワガタ以下程度に)小さかった理由が、素質(遺伝子)によるものなのか、環境(痩せた自然環境)によるものなのかを見極めることが目的です。写真は、今年6月下旬に採取した質量0.9gの小さな雌の子孫を、約4ヶ月間醗酵マットで成長させたものです。9月25日に2.4g、10月25日に7gだった質量は、その後24度で加温飼育しているにもかかわらず、今日時点で8.2gとやや成長度合いが飽和傾向にありました。このまま、あと1~2ヶ月経過すれば、体長55mm前後の雄成虫が羽化するのではないかと予想しています。素質なのか?/環境なのか?微妙な結果になるかもしれません。
 オオクワガタは、予想外にこの地区で見つかり、しかも子孫を残した為、純粋種なのか、交雑種なのかを見極めることが目的です。写真は、当初(大きくなることを期待して)9月12日に質量0g(孵化直後)でヒラタケの菌床で飼育していましたが、10月25日に質量は2.5gだった(予想外に成長しなかった)ため、その後は菌床の残りに醗酵マットを混ぜて、半加温(加温室の余熱が届く場所)で飼育していたところ、今日時点で6.7gと成長していました。いまだ成長過程である可能性もあり、今後さらなる成長にも期待できます。また、写真でも分かるように、左側のより質量の大きなノコギリクワガタ、ヒラタクワガタの雄より頭が大きいことから、国内最大級のオオクワガタの素質を垣間見ることができます。現時点では、純粋種と予想していいます。

 2021年12月13日 実験飼育中のヒラタクワガタの幼虫の成長過程を次の表に整理しました。これらの幼虫は全て、昆虫バカセフィールド(多摩地区)で採取した(この地域で平均的に見かける)比較的小さな雄、雌の成虫を飼育し産卵させ、醗酵マット等で成長させたものです。

多摩地区-昆虫バカセフィールド ルーツのヒラタクワガタ幼虫の成長過程_2021年12月13日

 親虫は(今日、越冬中の)雄が1.2g-3.6cm、(同)雌が0.9g-2.6cmでした。これに対して、幼虫は大きい順に、菌糸ビンAで飼育中のNo.4(雌)が10.0g、醗酵マットで飼育中のNo.9(雄)が8.2g、No.7(雄;写真)が8.0g、菌糸ビンAで飼育中のNo.2(雌)が5.0gでした。まだ羽化していないのではっきりとは分かりませんが、これらの幼虫は少なくとも両親の大きさを超える成虫になることは間違いなさそうです。次の写真に両親と雄・幼虫の中で(現時点で2番目に大きい)幼虫No.7を示します。

昆虫バカセフィールドで採取したヒラタクワガタ成虫(両親)とその息子_2021年12月13日

 ヒラタクワガタの幼虫は、自然界では、土中に埋没して水分を多く含み半ばフレーク状に分解された朽ち木内に生息することが多いと考えており、そのような朽ち木は河川敷を中心にした豊かな緑地に多く存在しています。しかし、近年、河川敷の護岸工事などによって、河川敷のヤナギ林等纏まった緑地が根こそ除去されコンクリート化されるケースが増加しています。そもそもこれらの護岸工事は、緑地の減少を含む様々な人為的な要因が温暖化を招き、集中豪雨を招き、それによる洪水を防止することが目的なのだから、緑地の減少がさらに緑地の減少を招く矛盾の産物ではないでしょうか? 人工的に飼育すれば、餌によらず大きく育つことができる(遺伝子を有している)にもかかわらず、自然界で見つかる小さなヒラタクワガタの成虫たちは、この矛盾を我々人間に訴えかけ「これ以上緑地を失うな」と警告しているように思えてなりません。

 このような自然に触れると癒やされます。現在の自然は維持したいと願ってやみません。

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内容 東京・昆虫ウォッチング(東京の昆虫)
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作者 昆虫バカセ
更新日 2021年11月27日