東京・昆虫ウォッチング・秋 クツワムシとウマオイのホットスポット

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 2022年9月8日夜  小雨降る夜 気温は26度、19時40からおよそ30分間、クツワムシの棲息する森に入りクツワムシとウマオイが群生するおよそ30m×3mの狭いエリアをウォッチングしたり、リスニングしたりして観察しました。
 最初に褐色のクツワムシの雌が見つかりました。

クツワムシ♀-1匹目(褐色)_クツワムシの森_2022年9月8日19時40分頃気温26度

 次も褐色のクツワムシの雌が見つかりました。意外にも、クツワムシの音色がそこら中に響いている割に、雌が立て続けに見つかりました。

クツワムシ♀-2匹目(褐色)_クツワムシの森_2022年9月8日19時40分頃気温26度

 およそ5分後、ようやく鳴いている緑色のクツワムシの雄が見つかりました。アレチウリの葉上で奏でていました。

 さらに5分後、2匹の緑色および褐色のクツワムシの雄同士が縄張り争いでもしているのか、追いかけあっていました。

クツワムシ♂ー2、3匹目(緑色、褐色)_クツワムシの森_2022年9月8日19時55分頃気温26度

 どちらかと言えば、緑色の方が無言(音)で追いかけ、褐色の方が鳴きながら逃げ回っている様子でした。

 また、セスジツユムシの雄が見つかりました。どうやら精球を出しているようです。これを雌に渡せば交尾が成立するはずですが、近くに雌は見あたりません。雌は昆虫バカセから死角になっているだけなのかもしれませんが。

セスジツユムシ♂(精球を付けている)_クツワムシの森_2022年9月8日19時55分頃気温26度

 直ぐ近くに、オオカマキリの雌も居ました。ここでは、クツワムシやセスジツユムシが主な獲物だと思います。

オオカマキリ_クツワムシの森_2022年9月8日19時55分頃気温26度

 さらに5分後、セスジツユムシの雌がヘクソカズラの葉上で見つかりました。

セスジツユムシ♀_クツワムシの森_2022年9月8日20時頃気温26度

 近くで、ウマオイの雌も見つかりました。

ウマオイ♀-1匹目_クツワムシの森_2022年9月8日20時頃気温26度

 さらに5分後、ここに群生している不明の植物の花に、コバネイナゴが来ていました。

コバネイナゴ_クツワムシの森_2022年9月8日20時5分頃気温26度

 さらに5分後、先の不明の植物の花のいつぼみに、ウマオイが来ていました。つぼみを食べているようにも見えます。ここでは経験上、この植物でよくウマオイが見つかります。

ウマオイ♀-2匹目_クツワムシの森_2022年9月8日20時10分頃気温26度

 その時、直ぐ足下にウマオイの雄が飛び出てきました。様子が変です。緊急事態のようです。羽を半開きにして、鳴きながら足早に動いています。音色はクツワムシの音量で掻き消されて聞こえませんが。すると、ほぼ同時に雌も飛び出してきました。すかさず一度シャッターを切り、動画モードに切り換え、ファインダー越しに撮影しながら動向を観察しました。どうやら、ウマオイの交尾行動のようです。飛び出して来た雌に対して、雄がやはり羽を半開き状態で(聞こえませんが、おそらく、ジース、ジース、ジース・・・と鳴きながら)それを追いかけ、やがて横にほぼ平行に並ぶやいなやお尻をおよそ60~70度ほど雌の方に曲げて、交尾しました。昨年、ウマオイの雄を実験飼育した経験から、彼は非常に神経質な昆虫で、物音がしたり周囲が明るかったりする環境では決して鳴きませんでしたが、”恋は盲目”との例え通りなのでしょうか、昆虫バカセの足下で、上から煌々と灯りを点けていても、まっしぐらに雌を追いかけていました。写真の上が雄、下が雌です。

ウマオイのラブシーン(♂1匹目、♀-3匹目)_クツワムシの森_2022年9月8日20時10分頃気温26度

 偶然で咄嗟の出来事でしたが、ウマオイのラブシーンの一部始終を動画で撮影したはずでしたが、後で撮影データを確認すると、最初のピンボケ写真1枚だけしか残っていませんでした。たぶん、動画撮影ボタンを押し忘れたのだと思います。この時はさすがに落胆しました。しかし、たまにはこのような貴重な場面に遭遇するからこそ、昆虫ウォッチングは(昆虫バカセの価値観では)ヤミツキになるのだと思います。
 このクツワムシの棲む森の、ヘクソカズラやアレチウリ、先の不明な植物が群生する狭いエリアは、クツワムシの合唱音が一段と高く、ウマオイが群生する、それら稀少昆虫のホットスポットです。今後も、観察し続けようと思います。

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 2022年9月9日夜  仕事帰り、高速道路が事故渋滞で最寄りのインターを下りると20時前(ほどよい時間帯)、先ほどまで時折り降っていた雨も止んでおり、クルマは自宅へは向かわず、ほぼ自動的にクツワムシの棲む森に向かいました。気温は26度、20時頃からおよそ1時間程 クツワムシの棲息する森に入り、クツワムシとウマオイのホットスポットを観察しました。
 最初に目にしたのは、食事中のクツワムシの(緑色の)雌でした。時間的に丁度 食事時なのでしょう。

食事中のクツワムシ♀(緑色)_クツワムシの森_2022年9月9日19時50分頃気温26度

 セスジツユムシも食事中でした。

食事中のセスジツユムシ♀_クツワムシの森_2022年9月9日20時30分頃気温26度

 ウマオイは居ないか? ウマオイのホットスポットをしばらくじっと凝視していました。

ウマオイのホットスポット_クツワムシの森_2022年9月9日19時50分頃気温26度

 すると いました。やはり、この植物の花のつぼみを食べているのか? 食べているように見えますが、その決定的な証拠は掴めませんでした。ここは、クツワムシのホットスポットから僅かに10mほど離れているだけですが、主な背景音はクツワムシの音色ではなく、アオマツムシの音色です。

 また、カナヘビがヘクソカズラの葉上で獲物を狙っているのかと思いきや、すやすやと就寝中の様子でした。

ニホンカナヘビ-就寝中_クツワムシの森_2022年9月9日20時30分頃気温26度

 つぎに、クツワムシのホットスポットをじっと凝視していました。クツワムシや他の昆虫の姿は見えませんが、ごく身近でクツワムシが合唱しています。

 すると クツワムシの大好物であるヘクソカズラの葉上に、突如 ウマオイの雌が現れました。ヘクソカズラの葉を食べる気配はなく、何か獲物を探しているように思えます。

 ごく隣接するクツワムシのホットスポットとウマオイのホットスポットで、ウマオイをよく見かける理由は可能性として2つ、1つはウマオイの好む(不明の)植物の花のくぼみを食べるため、もう1つは獲物として大声で(居場所が分り易く)鈍感でおとなしい(狩り易い)クツワムシを食べるため、そのどちらかではないかと推測しています。観察を続ければ、そのうちに判ることでしょう。

 2022年9月12日夜  気温は26度、19時30分頃 クツワムシの棲息する森に入り、クツワムシとウマオイのホットスポットを観察しました。
 ウマオイは、ここで主に何を食べているのか? クツワムシの恋の駆け引きでも確認できたらいいな~と思いながら観察を続けましたが、今日は何も起きませんでした。しかし、この時期にここに来ると必ず、レギュラーメンバーのクツワムシとウマオイとセスジツユムシに出会えます。今日は、準レギュラーメンバーのササキリと、ドウガネブイブイにも出会えました。

クツワムシの森のレビュラーメンバーと準レギュラーメンバー_2022年9月12日19時30分頃気温26度
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 2022年9月16日夜  仕事帰り、今日も高速道路が渋滞で最寄りのインターを下りると丁度20時頃、本能のまま クツワムシの棲む森に向かいました。気温は27度ぐらい。クツワムシの棲息する森に入り、クツワムシとウマオイのホットスポットを観察開始して、鳴き声の元を辿ると直ぐに、クツワムシの緑色の雄が見つかりました。鳴き声はあれど 姿はなかなか見つからないのが普通ですが、今日は一発でした。しかも、観察しやすい真横からのアングルでした。

 つぎに さらにクツワムシの鳴き声を辿ると、緑色の雌が見つかりました。すぐ近くに雄も居るはずなのですが、見つかりません。

 しばらくの間 この雌をマークしていると、雌は緩やかに移動し始め 30cm程葉上を伝わって移動した時点で、元居た場所に片足の雄が現れました。当初、雌は この雄の鳴き声を頼りにここ(この辺)に寄って来たのかと 思いました。そして いよいよカップル成立かと思いましたが、30cm離れた2匹は、その後20分間互いに無関心を装った後、雄は去って行ってしまいました。先日目撃した、恋の為には盲目になるほど激しかったウマオイの雄に対して、クツワムシの雄は恋にも鈍感なのかもしれません。
 写真 左側が雌、右側が雄です。

クツワムシ♂(緑色)とクツワムシ♀(緑色)_クツワムシのホットスポット_クツワムシの森_2022年9月16日20時25分頃気温25度

 近くのコナラの木の根元には、ブナシメジ風のキノコが生えていました。秋の実りでしょうか。

ブナシメジ?_クツワムシのホットスポット_クツワムシの森_2022年9月16日20時頃気温25度

 ふと 目線をコナラの幹の上に向けると、コクワガタが見つかりました。

コクワガタ♂_コナラ-クツワムシのホットスポット_クツワムシの森_2022年9月16日20時30分頃気温25度

 昆虫バカセはただ見つめただけでしたが、コクワガタはその気配を警戒してか、逃避ようの落下を試みました。すると 不幸にもコガネグモの巣に掛かってしまいました。

コクワガタ♂-コガネグモの巣に掛かる_コナラ-クツワムシのホットスポット_クツワムシの森_2022年9月16日20時30分頃気温25度

 この不幸の間接的な原因は昆虫バカセにあるので、最終的には救出するつもりで しばらく観察していましたが、コガネグモには一向に襲う気配がありません。コクワガタはもがいているので、その震動がクモに伝わらないはずはありませんが、コガネグモは、コクワガタを獲物として認識していないようです。

 その後、コクワガタをクモの巣から救出しました。いままでの経験から同様にハラビロカマキリ、ヤモリ、オオゲジなどにとっても、コクワガタは獲物として認識されていません。唯一、ヒキガエルにとってはご馳走です。
 今日はセスジツユムシには出会えましたが、今年始めてここでウマオイには出会えませんでした。

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 2022年9月26日夜  19時30分頃、気温は26度ぐらい。この10日間に台風が2回通り過ぎ、秋の気配が一段と進んだように感じますが、まだクツワムシやウマオイは健在なのか?10日ぶりにクツワムシの棲む森に入りました。
 10日前よりは明らかに静かです。クツワムシのホットスポットからは、クツワムシの音色が聞こえず、アオマツムシの合唱一色でした。するとようやくウマオイのホットスポットから、クツワムシの音色が聞こえてきました。近づくと偶然、褐色のセスジツユムシ雌が見つかりました。インターネット情報からこの存在を認識していましたが、昆虫バカセは初確認です。

セスジツユムシ(褐色)♀_ウマオイのホットスポット_2022年9月26日19時30分頃気温26度

 クツワムシの発音源をさらに絞っていくと、ようやく緑色の雄が見つかりました。しかし今夜、クツワムシはこの1匹だけしか見つかりませんでした。今年もそろそろクツワムシのシーズンは終了しそうです。

 すると、つぎはウマオイの雌が現われました。前回は出会えませんでしたが、まだ健在でした。

ウマオイ♀_ウマオイのホットスポット_2022年9月26日19時30分頃気温26度

 こんども目の前に別のウマオイの雌が現われました。始めて真正面から顔を眺めることができましたが、ウマオイは意外にイケ(ウー)メンでした。ヤブキリとほぼ相似形をしているので、彼の(能面の)ような怖い顔を想像していましたが、思いの他ベビーフェイスでした。ヤブキリより体が一回り小さいので、キリギリス界最強はヤブキリだと思いますが、獰猛さでは顔に似合わずNo.1だと思います。

ウマオイ♀(2匹目)_ウマオイのホットスポット_2022年9月26日19時45分頃気温26度

 しばらく眺めていると、近くにセスジツユムシの(通常色の)雌も現われました。写真左端がセスジツユムシ、右端がウマオイです。ウマオイはセスジツユムシと同程度に小さいキリギリスです。

ウマオイ♀(2匹目)とセスジツユムシ(2匹目)_ウマオイのホットスポット_2022年9月26日19時45分頃気温26度
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 2022年9月30日夜  19時30分頃、気温は22度ぐらいで少し肌寒く感じる仕事帰りに、クツワムシの棲む森に入りました。
 今夜はクツワムシとウマオイのホットスポットから、クツワムシの鳴き声が全く聞こえてきません。だから森はシーンとして、いや正確にはアオマツムシのリーリーとの合唱音だけが森中に暗騒音のように響いていました。それでも、両スポットを”うろうろ”巡回していると、セスジツユムシの雌が見つかりました。

セスジツユムシ(緑色)♀_ウマオイのホットスポット_2022年9月30日19時25分頃気温22度

 セスジツユムシは、ここクツワムシが棲む森でもキリギリスが群生する草原でも初冬まで見られる、キリギリス界の千両役者的な存在です。
 ふと、森の縁に埋め込んである木製のクイの先端をひたすらかじり続けているクツワムシの(褐色の)雌に遭遇しました。

 いったい何のためにかじっているのでしょうか? 顔面をアップで見ると、何かに取り憑かれたような表情で一心不乱にかじっていました。結局、昆虫バカセがこの森に入っていた30分間ずっとこうしていました。ご苦労様!

クツワムシ(褐色)♀-木をひたすらかじる(2)_クツワムシのホットスポット_2022年9月30日19時25分頃気温22度

 例年通り今年も10月を目前にして、クツワムシのシーズンは終了したようです。

 このような自然に触れると癒やされます。現在の自然は維持したいと願ってやみません。

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内容 東京・昆虫ウォッチング・秋 クツワムシとウマオイのホットスポット
Eメール hydro-servo-k@ab.auone-net.jp
作者 昆虫バカセ
更新日 2022年10月2日