サーボダイクッション ハイドロサーボプラスの考え方

 サーボダイクッションとは、サーボモータやサーボ弁を使用したダイクッションではなく、サーボモータやサーボ弁を使用した上で、サーボ技術を駆使してサージ圧が発生すること無く、ユーザが設定した通りのダイクッション荷重を精度良く発生させることが可能なダイクッションのことです。
 ユーザの荷重設定通りに、一定のダイクッション荷重を作用させたり、

本来のサーボダイクッションの一定ダイクッション荷重波形
図1.サーボダイクッション 一定のダイクッション荷重波形

 ユーザの意図通りに、階段状に変圧(降圧)させたり、そして最終的に下死点近傍で製品形状安定化のため、また元の荷重に戻したり、

本来のサーボダイクッションの変圧(降圧)ダイクッション荷重波形
図2.サーボダイクッションの階段(ステップ)状変圧ダイクッション荷重波形
50mmで200kN→150kN、3mmで再び200kN

 変圧の方法も階段状だけではなく、テーパ状に連続して変化させたりすることが可能です。

本来のサーボダイクッションの連続的変圧(テーパ状降圧)ダイクッション荷重波形
図3.サーボダイクッションの連続的(テーパ状)変圧ダイクッション荷重波形
80mm~3mmにかけて200kN→120kNに降下

 このような本来のサーボダイクッションを使用すれば、絞り成形において画期的な改善が期待できます
 ユーザは、ダイクッション荷重設定値を少し”いじれば(変更すれば)”、”成形が動く(製品形状が好転する)”ことを実感されるはずです。

 しかし現状は残念ながら、そのような本来のサーボダイクッションは殆ど存在しないのではないか?と心配しています。理由は、メーカに本来のサーボ技術が浸透しておらず、(「サーボとはサーボモータを使用する。そして市販のコントローラなどを使用してPID制御を施す」とした)偏ったサーボ技術が浸透しているからです。先ずこのことを(極端な言い方をすれば、機械を生かすか殺すかに関わる肝腎なサーボ技術の解釈が、これで良いのだろうかと)心配しています。

 次に、このようなサーボ技術背景の中、サーボモータを使用しただけの(サージを伴いダイクッション荷重が設定通りに作用しない)サーボモータ式ダイクッションを使用したユーザは、ダイクッション荷重設定を”いじって”も成形が動かず、むしろ成形が”ばらつく”不安定さに不信感を抱き、「サーボダイクッションなど無意味である。」とレッテルを貼られてしまうことが、ダイクッションの進化、サーボダイクッションの市場化および絞り成形技術の発展を妨げているのではないかと、懸念しています。

 いっそのこと、サーボダイクッションにもサージレス度合いとダイクッション荷重精度に関する検定を課し、検定に合格したものだけをサーボダイクッションとすれば、サーボダイクッションの進展、絞り成形技術の発展のために良いと考えています。

 「プレスが高速でダイクッション(のクッションパッド)に衝突するのだから、サージ圧は発生して当然」と当初考えていた私は、起業後 サーボを研究し続けた今は、それは間違いであり「サージは、サーボ(制御)が下手だから発生するのだ。サージの発生には理由が存在し、その理由を力学的に紐解き、それに応じて対処すれば(サーボの技を繰り出せば)、サージは発生しない」ことを悟りました。

 また、ダイクッション荷重精度を確保するために、自動制御の定石(PID(比例・積分・微分)補償)に依存した時点で負け(失敗)。それ以前に、力学上および自動制御上の荷重精度を阻害する要因を追求しそれを排除し、向上させる要因を追求しそれを助長し、確信をもって荷重精度を保持する。そして、仕上げ手段としてより良くするために定石(PID補償など)をも併用することがサーボであるという境地にたどり着きました。
 つまり、先ず、荷重ループをサージ無く、荷重精度を最大限(設定値±10%前後に)維持できるまで、ノンフィードバック(オープンループコントロール)で制御します。そして、次に、補足としてPIDを効かせて指令値との僅かな乖離を補正します。
 逆に言えば、ノンフィードバックで(自然に)機能しないものをフィードバックして機能させようとしても、無理のある状態で強引に動かそうとしているようなものなので、きちんと動かない(動けない)のです。

 このような考えに基づいて開発したサーボダイクッションがスマートエコロジークッションです。